彼女のローカルルール(完結)

ライトなラノベコンテスト用です。
中二的な能力物です。
色々な意味でライトです。

(第一回)ライトなラノベコンテスト二次落ちの作品です。
こんなんじゃあ落ちるよという参考にして頂ければ幸いです。

彼女のローカルルール 第二条 特殊能力行使禁止法

 追試者リストに夢穂さんの名前は無かった。

 馬鹿な。

 彼女のふざけたローカルルールが適用されたとでも言うのか?

 ……いや、お遊びのローカルルールならともかく、そんなのは小学生でも通用しないだろう。


「じゃ、追試開始」


 先生のそんな言葉で追試メンバーは一斉にプリントへと目を落とした。

 歴史のテスト。

 今回の範囲は、超現代の日本……世界史だ。

 つまり、『こっちの世界』と『あっちの世界』の戦争が終息してからの歴史である。

 追試の問題は前回と同じ……つまり、暗記してしまえばこちらのもの。

 こんな穴埋め問題、超簡単。


「…………」


 あっれぇ……うぅん、やべぇ、全然覚えてねえ。

 なんたら条約とかうんたら整備法とか、色々あったんだけどなぁ……。

 あ、この問題は覚えてるぞ。


問題、超能力を有する者がみだりにその力を使用するのを禁ずる法律は何か。

答え、特殊能力行使禁止法。


 これだ。

 プロボクサーが喧嘩したらダメだよ、って感じの法律だった気がする。


 戦争には、特殊能力が必要だった。

 なにしろ「あっちの世界」の住人には銃もミサイルも通用しなかったからだ。

 だからそれに対抗するべく、「こちらの世界」の人間も特殊能力を身に付けた。

 とはいえ、そんなものは戦争が終わってしまえば必要ない……むしろ、平和維持のためには邪魔である。

 だから、かつての剣術や武術のように、今日の特殊能力はスポーツの一分野として生き残っているのみである。

 

 だが、剣術や武術とは決定的に違うところが、特殊能力にはある。

 前者は技術……つまり修行や練習を積まなければものにならないが、後者はそもそも自分の能力として備わっているということが多い。

 手で掴むように、足で走るように、特殊能力者は特殊能力を使えるのだ。


 遺伝とか、何かのきっかけで、誰でも特殊能力者になってしまう可能性があるのだ。

 

 ……それか?


 夢穂さんは『何か』の能力を使った?

 

 だから、彼女は追試を受けずに済んだ?


 ……追試を受けずに済む能力って……なんだろう。


彼女のローカルルール 第一条 夢穂さん

 はいバリア、と言えば相手の攻撃を全て弾くことができるのは小学生までで、高校生になる僕にはもうそんな荒業使えない。
 ×マークだらけの答案用紙を目の前にして僕は頭を抱えていた。

「おやおや青君。頭を抱えてとても楽しそうじゃない」

 脳髄に響くような波のある声音が僕を呼んだ。
 およそ学校生活には相応しくないようなアクセサリーの散りばめられた制服。
 軽くウェーブのかかったボリュームのあるセミロング。
 そこから覗く小さな黒いツノ。
 彼女は僕を見下すようにしてヘラヘラと笑っていた。

「青君はテストの結果、どうだったのかな?」
 
 言いながら夢穂さんは僕の答案用紙を舐めるように見回す。
 恥ずかしかったが、何故だか答案用紙を隠そうという気になれなかった。

「くふふふふ。とても悪い点数だね。語尾に(笑)を付けるだけじゃあとても足りないくらいには悪い点数だよね。(笑)っていうか、(悪)みたいな?」

 夢穂さんは口元を押さえて心底馬鹿にするような笑みを浮かべる。
 これなんのプレイだろう。
 
「……なんだよ夢穂さん。僕を馬鹿にしに来たのか?」
「仲間を見つけに来たのよ」

 夢穂さんはまるで自慢するように五つの答案用紙を僕に提示した。

 24点! 

 16点! 

 33点! 

 19点! 

 5点!

 すげえ!
 僕より低いぞ!

「これじゃあ夢穂さんも追試か。なるほど、仲間だね」
「えぇ? 私は追試受けないよ?」
「いやいや、こんな点数じゃあ追試は免れないって」

 僕が言うと、夢穂さんは不敵に微笑んだ。
 そして、蛍光灯の光を小さなツノで反射させ、吊り上げられた唇の間から鋭い牙をのぞかせて、夢穂さんは大胆不敵に、威風堂々と、傲慢不遜に大きな胸を張って口走る。

「私は追試をしない。それが私のローカルルールだから」


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